シールの接着原理

さて、ここではシールの接着原理について考えてみましょう。
皆さんは、シールがなぜ物体にくっつくかを考えたことはありますか?。
粘着性の糊が付いていて、それがくっつくから?。
それは大きな意味で正解なのですが、調べていくとシールがくっつく理由は(もっとも、くっつかないとシールではなくなるのですが)、もっと他の理由があります。

シールが物体に貼りつく原理は「分子間力」と言う電磁気学的な力によります。物理学の範疇に入るでしょうか。この分子間力を詳しくお話していくと、とんでもなく難しくなってしまうので、ここでは身近な例でお話しましょう。

夏の暑い日に仕事を終えた後の、キンキンに冷えたビール。キリッと冷やした冷酒!。これに枝豆なんぞあると最高ですね!。
・・・こういった冷たい飲み物を取り巻く外気温が高い時には、コップなりジョッキなりの表面に水滴がついているはずです。この水滴は外気温と飲み物の温度差によって生まれるのは皆様ご存じの通りと思いますが、この表面に糊も何もついていない、普通の紙を静かに貼り付けてみてください。きっと、コップなりジョッキの表面に紙が貼り付くはずです。これがシールの接着原理です。

もう少し詳しく考えてみましょう。上の例でお話すると、コップやジョッキを物質Aとします。そして貼り付ける紙を物質Bとします。この物質Aと物質Bの表面が乾燥しているときには、ここに紙を貼り付けようと近づけてもくっつかないはずです。ところが物質Aと物質Bの間に水と言う液体が入ると、物質Bの紙は物質Aのコップやジョッキに貼りつくようになります。

実は物質Aも物質Bも、磁石のようにお互いに引き合う力は持っているのですが、この二つの物質の表面を顕微鏡で覗いてみるとツルツルの平坦な面ではなく、微細な凹凸があります。この凹凸のため、お互いの物質が接触する面積が非常に少なくなってしまい、そのためにこの二つの物質はくっつかなかったのです。ところがこの二つの物質の間に液体が入ると(この例で行くと水)、水が物質Aと物質Bの表面にある微細な凹凸を埋めることで二つの物質が接触する面積が増えます。この二つの物質の間にある引き合う力が強くなり、くっつくようになります。この引き合う力が分子間力です。

ですが、この場合は水なので、乾燥してしまえば埋める力がなくなってしまいます。なので、この水分が乾燥しないように工夫されたのがシールの粘着剤です。この粘着剤が乾燥しないことで接着力を保持し、低温でも硬くならないことで低温下でも接着力を保持したり、冷凍しても物質に貼りつくことができるようになっているのです。

このように、さまざまな接着環境において、それに応じた粘着剤を使用することでシールとしての役割を果たすことが出来るように、弊社では様々なシール原紙を用いてお客様に最適な結果が得られるように、日夜努力しています。

それでは、このシールの粘着剤にどんな種類があるのか、見てみましょう。

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