シールの粘着剤について

続いては、シールの粘着剤の種類についてです。
シールは様々な場所に貼り付けられることが想定されます。先ほどのビールや冷酒の話ではありませんが、冷たいところに貼り付ける場合もあれば、表面がザラザラしていたり、あるいは凸凹していたりしている場所に貼り付けられることもあります。この、シールを貼り付けられる物質。これを「被着体」と呼ぶことにしましょう。

もちろん、その用途によって粘着剤は多種多様な種類があり、様々な被着体の場所に貼れるようになっていますが、一つだけどうしても苦手な場所があります。それは、被着体の貼られる面(被着面と呼びます)が結露などで濡れている場合。この場合は「シールの接着原理」のところでお話した、分子間力が関係してきます。
表面が結露している場合は、被着面と粘着剤との間に水が存在します。このため、シールの粘着剤は被着面ではなく水と対面することになり、剥がれてしまう結果になるのです。
(でも、これを貼りつけ可能にした原紙も一部に存在します)

但し例外として、私が子供のころによく作っていたプラモデルの中に入っていた、水を含ませて貼り付ける「デカール」と言われるもの。あれは水がないと貼り付けることが出来ません。水を含ませることで乾燥していた粘着剤を溶かし、シールにするからです。なので、あれは水に漬け過ぎてしまうと表面基材のフィルムだけが残り、貼り付けることが出来なくなってしまいます。
小さい頃の私は、実は何度もこれをやってしまいました(笑)。
おかげでデカールが貼り付けられなくて、どれだけ困ったことか(←自分が悪い)。
同じ意味で切手や印紙もそうですね。マイナーなところでは、現金書留の封緘紙とか。これらは水がないと接着することが出来ません。

それでは、ここからはどんな種類の粘着剤があるのか、ひも解いていきましょう。
まずはタイプ別に見てみると、以下の三種類に分けることが出来ます。

永久接着タイプ文字通り、一回貼ったら剥がれない?。そんなことはありませんが、剥がしにくいのは確か。
無理に剥がそうとすると、粘着剤の塗工面と表面基材と言われる印刷する紙の部分が分かれてしまい、粘着剤が残っちゃうことも。
一度貼ったら剥がすということを想定していないためですが、実は一番多く使われています。
再剥離タイプ貼り付けますが、一定期間経過したのちに剥がすことを想定に入れて作られているのが、このタイプ。
使用される用途、被着体の形状や材質などに合わせて、粘着力の強さがいろいろあります。
再貼付タイプその名の通り、一度貼って剥がして終わりではなく、もう一度貼り付けることを想定しているタイプ。
粘着力としてはさほど高くない。

これを踏まえて、今度は粘着剤を用途別に分けてみましょう。すると、こうなります。

普通接着一般に使われているシールの粘着剤は、ほとんどがこれです。文字通り、一番よく使われているものですが、
何を基準に「普通」なのか、いまいちわかりにくい部分もあります。
強粘着普通接着よりも接着力を増したもの。これも、一般的に多く使われているものです。
冷凍食品用まさしく被着体が冷凍/冷蔵食品の際に使用するもので、低温下での接着特性に優れています。
超強粘着一度貼ったら剥がれない?。
いえいえ、そんなことはありません。この粘着剤は低温環境や被着面が凹凸の場合の貼付に適しています。
粗面「そめん」と読みます。被着面がざらざらしている場所に貼り付けに適しています。
タイヤ用新品のタイヤを買うと、接地面の表面に製品名やそのロゴを入れたシールが貼りつけられていますが、
それがタイヤ用の粘着剤を使用したシールです。ゴムの表面は細かい気泡が空いていて、
そこに貼り付けるわけですから、その分粘着力も強大です。
訂正用まさしく、訂正するための粘着剤。
通常、粘着剤は透明ですが、これは貼った時に下地の文字などが透けてしまうことを防止するために、
粘着剤が灰色になっています。
強粘再剥離粘着力は強いけど、剥がすときにもきれいに剥がれます。というのがこの粘着剤。
きれいに剥がせるという利点を生かしてインデックスラベルやキャンペーンシールなど。幅広く使われています。
弱粘再剥離貼って剥がせて、しかも粘着力はさほど必要としていないときに使うのがこれ。
この粘着剤も、剥がすときには被着体に糊が残らないか、残りにくいようになっています。
再貼付これも再剥離の種類の一つ。というか、言葉が違うだけで殆ど同じです。
貼って剥がせて、また貼れる、貼って剥がしてを繰り返しても粘着力が落ちない。
これが最大の特徴です。

このようにシールの粘着剤は多種多様にわたり、ここでご紹介したのはほんの一部です。
歴史から接着原理、粘着剤の種類までをお話してきましたが、今度は「基材」と呼ばれるシール表面の材質について見てましょう。

シールの基材へ